死にたいが死にたくない
目が覚めて、今日一日生きられる自信がない。
通勤電車には飛び込みたくなるし、駅の階段では突き落とされて死ねばいいと思っている。
歩道を歩けば車が突っ込んでくることを期待し、仕事で運転していればトラックに突っ込まれないかなと期待する。
帰りも同じように電車に飛び込みたいし、階段では突き落とされたい。
でもそう簡単に殺してはくれない。
世界では死にたくない人が毎日死んでいるというのに。
自殺出来るほどの勇気もなく。
ただ不慮の事故を期待している。
正直、世の中には俺なんかよりずーっと辛い思いをしている人が山ほどいる。
変わってあげたい。
これは善意でもなんでもない。
捨て身。
でもきっとこれは素晴らしいことだとほめられ、感謝される。
違う。俺はそんな出来た人間ではない。
自殺さえ選べない。
俺は特別な弱者ではない。
せめて特別な弱者でありたい。
五体満足で生きている。
努力次第でなんでもできる。
そんな選択肢の多さに耐えられない。
しかし選択はしなければならない。
嫌々選んだ選択は誰かが選びたかった選択なのだ。
その状況に耐えられない。
耐えられなくとも死ねないので耐えるしかない。
毎夜このまま目が覚めないで欲しいと願う。
永遠に夜に溶けてそのままあらゆる痕跡が消えたら良いのに。
なぜこれほど中途半端に生きてしまったのか。
自死をえらべず。
やるべきことを見つけず。
やりたいことも見つけず。
ただ生きた。
それだけ。
それだけでもなにかがあるはずだ。
なにかはあるが何者でもない。
面白くない人間が1人生きているだけ。
身体を好きに使って欲しい。
意識ごと乗っ取って欲しい。
自分に価値があると。
あなたが大切だと。
言ってくれる人が居るけれど。
それでも自分の価値を信じられない。
死なないための楔。
自分で自分を苦しめている。
死なないように。
生きれるように。
そしてまた明日が来る。
死ねずに苦しむ明日が来る。